衝撃波とは、音速を超えて伝わる圧力の波で、自然界では火山の爆発・雷などによって起こります。
衝撃波は、同じような音響的特性を持つ物質内をまっすぐに進むことから、体外の水中内で人工的に発生させた衝撃波を皮膚表面から脂肪・筋肉などの体組織を通って伝播させ、体内深部の一点に収束させることができます。
この原理を応用して発明された治療装置が体外衝撃波結石破砕装置です。腎臓や尿管など体内にできた結石に焦点を合わせて衝撃波を照射すると、切開などの外科手術をおこなわずに結石を破砕することができます。衝撃波結石破砕装置はドイツで開発され、世界で初めての腎結石患者が治療を受けたのは、1980年2月のことでした。この装置は1988年には日本でも保険適応となり、現在では上部尿路結石治療の第一選択肢として世界中に広く普及しています。
ヨーロッパでは近年、結石破砕のみならず、整形外科領域でも肘や肩、足底等の疼痛治療や難治性の骨折の治療にも低出力の衝撃波が利用されるようになってきています。その作用メカニズムや安全性を研究していく過程で、低出力の衝撃波は血管に照射しても安全であることが示唆され、狭心症や閉塞性動脈硬化症に対する衝撃波治療が開発されました。