【 当講座について 】
高齢者の未曽有の増加と少子化の影響により我が国における高齢化率は上昇し続け、2021年9月に発表された65歳以上人口割合は29.1%(内閣府高齢社会白書)と過去最高となっています。宮城県では既にその割合が30%を超えた地域も決して少なくなく、高齢者における「健康寿命の延伸」を実現するためには、脳卒中と循環器病の抑制が重要です。脳卒中および循環器疾患に対する医療費は全体の約2割を占め、中でも急速に増加している心不全への対策は喫緊の課題と考えられます。近年、心不全の増悪因子としての心房細動や、突然死に関係する致死性不整脈に対するアプローチ、心不全と不整脈との連関が注目されており、心房細動に対するカテーテルアブレーションの機器やペースメーカ・植込み型除細動器・心臓再同期療法などの植込み型デバイス機器を含めたイノベーションが次々と起こっています。一方で、残存した問題も多く、新規医療技術・治療法の開発に加えて新たなエビデンス創出が求められています。
【 研究内容 】
心不全と不整脈、それぞれの病態解明に向けて、様々な先進的診断方法や治療機器の開発につながる研究を行っています。具体的には研究協力多施設の臨床データを個人情報の特定されない形で収集し、機械学習やディープラーニングなどの手法を用いた人工知能(AI)解析を行うことで、病態発症のメカニズムの解明や介入すべきリスクファクターの同定を行っています。また、同定した基盤的知見をもとに臨床応用可能なアルゴリズムや新規治療機器の開発、心不全と不整脈の連関に関する新たなエビデンスの創出を行っています。