デバイス関連多施設共同研究

 我が国の高齢化率は今後も更に上昇し続けることが予測されます。高齢化にともない慢性心不全、心房細動、虚血性心疾患などの循環器疾患が増加するため、これらの疾患への治療が重要となります。近年、薬物療法に加えて、ペースメーカや植込み型除細動器(ICD)および心臓再同期療法(CRT)に使用するデバイス(CRT-P、CRT-D)など、心臓植込み型デバイスの使用を含めた多角的な医療の必要度が増しています。超高齢化という我が国の状況を鑑みた際、欧米のエビデンスをもとに作成されている治療指針(ガイドライン)のみでは、不十分であり、Individualized Guidelineともいえる個別リスクに基づくアプローチへの関心が高まっています。

 当教室では、①CRTに関する多施設研究、②CHART2研究サブ解析(図1)など、心臓植込み型デバイスに関する我が国のエビデンスの構築に向けた研究を行っております。また日本不整脈心電学会による「本邦における冠動脈疾患を伴う植込み型除細動器植込み症例の実態調査 (JID-CAD) (UMIN00013090)」やアジア地域におけるCRTに関する「Mid-Q Response 試験 (jRCTs052190113)」に参加し、本邦のエビデンスの構築に寄与しております。(図2)

図1: CRT植込みの有無が心不全入院に与える影響

device1

CHART-2研究(当教室を含めた多施設登録研究:n=10219)での、2015年時のCRTの適正使用について評価をし、CRTの適応があるにも関わらず植え込まれていない患者群で心不全入院のイベントが多いことが明らかとなりました。


図2

device2