⑥心筋症

心筋症とは

心臓の筋肉(心筋)が障害され、その結果、全身に十分血液を送ることのできなくなる病気です。

心筋症の種類

心臓の筋肉(心筋)が厚くなる肥大型心筋症
心臓の内腔が拡張して心筋が薄くなる拡張型心筋症
心臓の筋肉(心筋)が硬くなる拘束型心筋症があります。
そのほか、特殊な心筋症として、心サルコイドーシス、心アミロイドーシス、心ファブリー病などがあります。

心筋症の症状

心筋症を放置しておくと、脳、肝臓、腎臓などの臓器に十分な血液や栄養を送ることができなくなる慢性心不全という状態になります。慢性心不全では、息切れや倦怠感などの症状が出現し、日常生活に支障が生じます。
代表的な症状は、動悸(ドキドキ感)、労作時の息切れ、呼吸困難、体のむくみ、体重増加などがあります。ひどくなると、夜間突然息苦しくなって目が覚めることや、さらに進行すると安静にしていても息切れがすることもあります。(慢性心不全の項もご参照下さい。)
そのほかに肥大型心筋症では胸痛、めまい、失神をおこすこともあります。また、心サルコイドーシスでは、不整脈を起こすこともあります。

心筋症の検査

胸部レントゲン写真、心電図、血液検査、MRI検査のほかに、心臓超音波検査、心臓カテーテル検査などがあります。心臓超音波検査により、心臓の筋肉の厚さや動き、心臓の拡張の程度を調べることができます。また、心臓カテーテル検査により、心臓の内圧を測定したり、心筋の一部を採取して顕微鏡で組織学的診断を行う「心筋生検」を行うこともあります。

心筋症の治療

心筋症が疑われた場合、まず上記のような検査を行い、どのタイプの心筋症であるかを診断します。そのうえで、それぞれの心筋症に適した治療を行います。基本としては慢性心不全の治療に準じます。特殊な治療としては、ファブリー病では不足している酵素を補充する治療を行うことがあります。

心ファブリー病とは

心肥大を呈する病気の一つで、糖代謝に必要な「アルファ・ガラクトシダーゼA」という酵素の不足により生じる病気です。いままではこの病気に対する根本的な治療方法はありませんでしたが、近年、この不足している酵素を補充する「酵素補充療法」の効果が期待されています。当科ではこの新しい治療法に対しても積極的に取り組んでいます。