③慢性心不全

慢性心不全とは

心臓は常に休むことなく、体の隅々まで血液を送り出すポンプとして活躍しています。しかし、さまざまな心臓病をそのまま放置しておくと、脳、肝臓、腎臓などの臓器に十分な血液、栄養を送ることができなくなります。この状況を「心不全」と呼びます。さらにこの状態が長期間にわたって起こり次第に進行していく時、この病気を「慢性心不全」といいます。

慢性心不全の症状

慢性心不全になると心臓だけではなく、息切れや脱力感など全身に様々な症状が強く起こり、日常生活に支障が生じます。
代表的な症状は、動悸(ドキドキ感)、動作時の息切れ、呼吸困難、体のむくみ、体重増加などがあります。ひどくなると、夜間突然息苦しくなって目が覚めることや、さらに進行すると安静にしていても息切れがすることもあります。

慢性心不全の検査

胸部レントゲン写真、心電図、血液検査、心臓超音波検査などがあります。さらに詳しい検査が必要な場合には、CT、MRI、心臓カテーテル検査などで調べます。

慢性心不全の治療

治療目的は、症状を軽くし、生活能力の向上を図るとともに、最終的には長生きできるようにすることです。
まず、原因となっている心臓病の治療を行います。
症状が軽い場合は内服薬による治療を行いますが、病状が重くなると入院となり、安静の確保、酸素吸入、点滴による治療が必要になります。末期重症心不全の場合には、補助人工心臓や心臓移植治療といった高度な先端医療を行います。最近では、両心室ペーシングと言われる特殊なペースメーカー治療法が開発され、重い心臓病の方でも長生きできるようになりました。当科では積極的にこの両心室ぺーシング治療を行っています(年間約20例)。
また、再発の予防のため、内服薬での治療のほか、塩分制限を含めた食事療法、適度な運動指導、禁煙、減酒の指導をします。

慢性心不全の生活上の注意点

退院時に指導いたします食事療法、運動、禁煙、減酒の他、きちんとお薬を飲んでください。また、次のようなサインは症状悪化の前触れですので、早めに主治医にご相談ください。
息切れ、呼吸が苦しい、胸が苦しい、動悸がする、尿が少ない、足がむくんだ、体重が増えた(数日以内に3キロ以上)。