①狭心症

狭心症とは

心臓は、筋肉でできています。常に休むことなく、体中に血液を送るポンプの役割をしています。非常に働き者の臓器ですので、非常に多くの酸素を必要とします。そのため、心臓の周りには「冠動脈(かんどうみゃく)」という3本の動脈が走っていて、血液が供給されています。この冠動脈が狭くなり、十分に酸素が行き渡らないのが「狭心症」です。
狭心症には、冠動脈硬化により冠動脈が狭くなり生じる「労作性狭心症」と、冠動脈のけいれんにより血流が低下する「冠れん縮性狭心症」があります。

狭心症の症状

症状の代表は胸痛(締めつけられる、抑えつけられる、重苦しいといった漠然とした痛み)です。狭心症は数分から長くても十分程度で治まります。ニトログリセリンの舌下またはスプレー投与により症状が数分でよくなります。痛みの場所は、典型的には左前胸部ですが、様々な部分に起こることがあります。

* 胸の中央 * 左胸部 * 左肩 * 首
* 下あご(歯の痛みに似ます)  * 後頭部  * みぞおちなど

また、糖尿病や高齢者の方では痛みがはっきりと出てこないこともあります。このほか、痛みに伴い、動悸や呼吸困難、めまいといった症状が出現することもあります。また、冠れん縮性狭心症の場合には、夜間から早朝にかけて胸が苦しくなることがあります。このような症状のある方は、是非、お早めにご相談ください。

狭心症の検査

まずは外来でしっかりとお話を聞かせて頂きます。どのような時に、どのような症状が起き、どのくらい続いたか、どのくらいの頻度で起きるのか、を教えてください。また、今までかかった病気、ご家族で心臓病の方がいるのかどうか、などについてもお聞きします。
その後、一般的な検査として、胸部レントゲン写真、心電図、心臓超音波検査、血液検査などを行います。また、ホルター心電図という24時間連続記録する心電図の検査なども行います。
そのような検査にて狭心症が疑われる場合には、より詳しい検査として、運動負荷心電図、心筋シンチグラフィー、CT検査、そして心臓カテーテル検査を行うことがあります。

狭心症の治療

狭心症の治療は大きく分けて、薬物治療、カテーテル治療、外科治療(バイパス術)の3つがあります。

○薬物治療

狭心症の治療において、薬物治療は欠かせません。下記のカテーテル治療、バイパス術をした場合でも、薬を全く飲まなくなることはまれです。血液の流れをよくする薬剤、心臓の血管を広げる薬剤、心臓の負担を減らす薬剤などが用いられます。また、冠れん縮性狭心症の場合には、れん縮予防効果のある薬剤を用います。

○カテーテル治療(風船、ステント治療)

狭心症を疑った場合に行う各種検査の結果、実際に冠動脈を検査してみる必要があることがわかった場合に、「心臓カテーテル検査」を行います。そのカテーテルの検査にて、冠動脈に狭い部分が見つかった場合、薬物治療以上の治療が必要となることがあります。 それが、カテーテル治療、もしくは外科手術(バイパス術)です。
当科では、通常、左の手首の動脈からカテーテルを進め検査を行います。狭い部分に対しては、風船で広げる治療を行い、さらにステントという金網を留置し、ふたたび血管が狭くなることを予防します。
最近では、このステントに薬剤の塗ってある新しいタイプの治療法も行われています。ステント治療には、血液をサラサラにする薬の追加投与が必要となりますので、適宜、医師にご相談ください。