肺動脈バルーン形成術(BPA)

経皮的肺動脈バルーン形成術の実際

 肺動脈造影では慢性血栓塞栓性肺高血圧症の肺動脈は器質化血栓により狭窄、閉塞していることがわかります。(図1) 経皮的肺動脈バルーン形成術(BPA)は肺動脈の狭窄、閉塞部をバルーンにて拡張し、血管を再疎通させることで、肺血流が増え、肺高血圧症を改善させる治療法です。

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 実際の方法は、まず肺動脈の狭窄、閉塞部にワイヤーを通し、そのワイヤーにバルーンをそわせて病変部までバルーンを運びます。そして、狭窄部でバルーンを膨らませることで肺動脈内の器質化血栓を壁によせることで肺動脈内腔を確保し、血流を再疎通させます。(図1) 図2が実際にBPAを施行した前後で撮影した肺動脈内の画像(OCT)です。BPA前は肺動脈内にメッシュ状の器質化血栓を認めますが、BPA後は器質化血栓が肺動脈壁に寄せられ、肺動脈内腔が確保されていることがわかります。

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 BPA施行前は慢性血栓塞栓性肺高血圧症の予後は非常に悪い状態でしたが、BPAにより生存率が有意に改善しております。(図3) またBPAの合併症も減少し、現在ではほとんど認められず、安全な成績を残しております。

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