肺高血圧症

肺循環グループ主任: 矢尾板 信裕

 肺高血圧症は、進行性の肺血管抵抗上昇および肺動脈圧上昇を特徴とする予後不良な疾患です。最近様々な治療薬が開発され、一定の効果をあげているものの、未だにその治療効果は不十分とみなされています。当科は、これまで肺高血圧症に対するRhoキナーゼ経路の役割を検討してきており、Rhoキナーゼ阻害薬であるファスジルが、動物モデルに対して血行動態的変化および組織学的変化に対し有効であることを明らかにして(J Cardivasc Pharmacol 2006・2007など)、さらに臨床研究においても、肺高血圧症患者においてファスジルが肺血管抵抗を減少させる急性効果を有することも明らかにしました(Heart 2005)。今後、薬剤の開発を含め、肺高血圧症患者におけるファスジルの慢性効果を検討する予定でして、また既存の治療の有効性に関する臨床的因子の検討も行っています。


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