HOME > 受診される方へ > 当科の診療実績 > (2)虚血グループ

受診される方へ

受診される方へ

当科の診療実績

(2)虚血グループ

虚血グループ

 当グループは狭心症・心筋梗塞といった虚血性心疾患を対象に心臓カテーテル検査・冠動脈インターベンション治療を精力的に行っております。2016年に当グループで施行したカテーテル検査総数は654例、冠動脈インターベンション施行数209例でした。冠動脈インターベンションの初期成功率は98%で、その内訳は治療病変数224病変で、薬剤溶出ステント165例(79%)、従来型金属ステント21例(10%)、バルーンのみによる拡張33例(16%)でした。薬剤溶出ステント使用率は年々増加しておりPCI施行症例の約8割に達し、再血行再建率5%程度と良好な成績を得ております。近年増加しております血液透析症例を中心に高度石灰化病変に対して積極的にロータブレータを使用し、2015年には例年とほぼ同じ6例に施行しました。また血管内超音波(IVUS)の約10倍の空間分解能を有しており、ステントにおける内皮被覆の検討や不安定プラークの描出等に利用が可能な光干渉断層計の運用も引き続き行っております。特に最新鋭のOFDIを2013年5月からいち早く導入し、2016年にはOFDIを89例に施行しました。また、近年FAME試験等でその有用性が証明されたプレッシャーワイヤーを用いた器質的狭窄病変の機能的評価法である冠血流予備量比(FFR)測定を2016年には前年よりも40例ほど増加し151例に対して施行いたしました。狭窄病変が虚血を引き起こすか否かをしっかりと評価し不必要なPCIを行わなくなった結果、PCIの全施行数が2015年よりも約25件ほど減少したと考えられます。今後も引き続き、OFDIを用いた詳細な形態学的検討と、FFRによる機能的検討の両者を積極的に行うことで、より質の高い冠動脈インターベンション治療・研究に挑戦していきたいと考えております。

 2008年11月ハートホットラインの開設し8年が経過しましたが、2016年も関連病院や開業医の先生方から多くの患者さんをご紹介いただきました。また救急隊の皆様にもご協力いただき、高度救命救急センターを通じて多くの胸痛患者さんを搬送していただきました。2016年には2015年と同数の73例の緊急心臓カテーテル検査を行い、そのうち25件の急性冠症候群に対して緊急冠動脈インターベンションを施行いたしました。当教室では開業医の先生方を対象とした循環器内科病診連携ネットワークを組織し、現在313施設にご参加いただいております。今後さらにこの病診連携ネットワークの結びつきを強め、急性冠症候群に対するインターベンション数を増加させたいと考えており、これまで以上に迅速な対応を心がける所存でありますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。

 当グループでは日本人に多い冠攣縮性狭心症の診断・治療にも力を入れており、冠攣縮性狭心症が疑われる症例には誘発試験を積極的に施行しております。2016年には前年とほぼ同程度の112例に対してアセチルコリン負荷試験を施行いたしました。特に高齢女性の場合には微小血管型冠攣縮性狭心症の可能性も考え、心筋内の乳酸産生を検討するために冠静脈洞採血も併せて行っております。また、冠動脈や心筋に器質的な異常が認められない院外心停止例に対しては冠攣縮誘発(アセチルコリン負荷試験)・心室細動誘発(電気生理学的検査)の両者を施行し、致死的な不整脈発生のメカニズム解明に努めるとともに再発防止の治療を行っております。2017年も動脈硬化に伴う器質的狭窄の有無だけではなく、冠動脈の機能的異常の有無をしっかり評価して診療に生かしていきたいと思います。

 さらに、当科独自の先進的な医療として低出力体外衝撃波を用いた非侵襲性の血管新生療法(「低出力体外衝撃波治療」)を継続して施行しております。狭心症に対する低出力体外衝撃波治療については2010年7月に厚生労働省の「先進医療」に承認されて以来、関西や九州からも患者さんが治療に来られています。今後これまでの実績を踏まえて保険償還申請を視野に入れております。また、下川教授が治験調整医師をつとめる超音波血管新生療法の医師主導治験も全国10施設で進んでおり、重症狭心症症例8例(全国累計36例)に対して治療を行いました。2016年より新たに藤田保健衛生大学病院、久留米大学病院の2施設が治験に参加し、治療を提供できる施設がさらに拡充しました。狭心症の治療に難渋されている方(薬物抵抗性で、冠動脈インターベンションやバイパス術の施行が困難な方)はぜひご相談ください。

 今後ともエビデンスに基づいた虚血性心臓病に対する診断・治療を行い、一人でも多くの患者さんのQOL・予後の改善を目指して全力を尽くす所存です。

(文責 高橋 潤)


1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
カテーテル
検査総数
79 102 95 95 125 166 184 179 169 362 387 518 516 636 548 625 663 628 632 597 654
インターベンション数 28 32 21 21 24 72 104 79 83 134 122 168 215 274 254 247 263 297 274 235 209

 

当グループにおけるカテーテル総数とPCI数の推移
 
  2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
カテーテル検査総数 548   625   662   628   632   597   654  
緊急冠動脈造影検査件数 61   60   66   79   64   73   73  
アセチルコリン誘発検査件数 55   63   112   109   103   124   112  
冠動脈インターベンション件数 252   247   263   297   274   235   209  
冠動脈インターベンション成功率 97% 内訳 98% 内訳 98% 内訳 98% 内訳 98% 内訳 98% 内訳 98% 内訳
治療病変数 252 100% 247 100% 263 100% 256 100% 274 100% 235 100% 224 100%
ステント挿入例 199 79% 206 83% 193 73% 221 86% 227 83% 188 83% 186 89%
ベアメタル(金属)ステント挿入例 57 23% 50 20% 23 9% 35 14% 26 9% 12 9% 21 10%
薬剤溶出ステント挿入例 142 56% 156 63% 171 65% 187 73% 201 73% 176 73% 165 79%
バルーン拡張単独症例数 21 8% 37 15% 29 11% 31 11% 49 18% 46 18% 33 16%
ロータブレータ 11 4% 20 8% 8 3% 10 4% 9 3%8 3% 6 3%
血管内超音(IVUS)波施行数 209 83% 237 96% 217 83% 267 90% 283   283   202  
OCT施行数 38 15% 5 2% 12 5% 41 14% 120   123   89  
薬剤溶出ステント再狭窄率 5%   4%   7%   6%   9%   6%   6%  
ベアメタル(金属)ステント再狭窄率 11%   12%   10%   13%   8%   7%   8%  
合併症例数 5   5   2   5   3   2   3  
下肢インターベンション件数 2   9   9   2       2   6  
PTAV     5   0   0   11   0   0  

このページのTOPへ