HOME > 受診される方へ > 当科の診療実績 > (2)虚血グループ

受診される方へ

受診される方へ

当科の診療実績

(2)虚血グループ

虚血グループ

 当グループは狭心症・心筋梗塞といった虚血性心疾患を対象に心臓カテーテル検査・冠動脈インターベンション治療を精力的に行っております。2018年に当グループで施行したカテーテル検査総数は685例、冠動脈インターベンション施行数213例で、両件数ともに2017年を上回りました。冠動脈インターベンションの初期成功率は99%で、その内訳は治療病変数227病変で、薬剤溶出ステント168例(79%)、従来型金属ステント19例(9%)、バルーンのみによる拡張22例(10%)でした。薬剤溶出ステント使用率は例年同様PCI施行症例の約8割に達し、再血行再建率8%程度と良好な成績を得ております。近年増加しております血液透析症例を中心に高度石灰化病変に対して積極的にロータブレータを使用し、2017年には5例の石灰化が非常に強固な症例で施行しました。また血管内超音波(IVUS)の約10倍の空間分解能を有しており、ステントにおける内皮被覆の検討や不安定プラークの描出等に利用が可能な光干渉断層計の運用も引き続き行っております。特に最新鋭のOFDIを2013年5月からいち早く導入し、2018年にはOFDIを83例に施行しました。また、近年FAME試験等でその有用性が証明されたプレッシャーワイヤーを用いた器質的狭窄病変の機能的評価法である冠血流予備量比(FFR)測定を2018年には前年よりもさらに50例以上多い211例に対して施行いたしました。狭窄病変が虚血を引き起こすか否かをしっかりと評価し不必要なPCIを行わないように留意しております。今後も引き続き、OFDIを用いた詳細な形態学的検討と、FFRによる機能的検討の両者を積極的に行うことで、より質の高い冠動脈インターベンション治療・研究に挑戦していきたいと考えております。

 2008年11月ハートホットラインの開設し満10年が経過しましたが、2018年も関連病院や開業医の先生方から多くの患者さんをご紹介いただきました。また救急隊の皆様にもご協力いただき、高度救命救急センターを通じて多くの胸痛患者さんを搬送していただきました。2018年には2017年よりも約20例多い85例の緊急心臓カテーテル検査を行い、そのうち49件の急性冠症候群に対して緊急冠動脈インターベンションを施行いたしました。当教室では開業医の先生方を対象とした循環器内科病診連携ネットワークを組織し、現在313施設にご参加いただいております。今後さらにこの病診連携ネットワークの結びつきを強め、急性冠症候群に対するインターベンション数を増加させたいと考えており、これまで以上に迅速な対応を心がける所存でありますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。

 当グループでは日本人に多い冠攣縮性狭心症の診断・治療にも力を入れており、冠攣縮性狭心症が疑われる症例には誘発試験を積極的に施行しております。2018年には前年とほぼ同程度の125例に対してアセチルコリン負荷試験を施行いたしました。特に高齢女性の場合には微小血管型冠攣縮性狭心症の可能性も考え、心筋内の乳酸産生を検討するために冠静脈洞採血も併せて行っております。また、冠動脈や心筋に器質的な異常が認められない院外心停止例に対しては冠攣縮誘発(アセチルコリン負荷試験)・心室細動誘発(電気生理学的検査)の両者を施行し、致死的な不整脈発生のメカニズム解明に努めるとともに再発防止の治療を行っております。2019年も動脈硬化に伴う器質的狭窄の有無だけではなく、冠動脈の機能的異常の有無をしっかり評価して診療に生かしていきたいと思います。

 当科独自の先進的な医療として、低出力体外衝撃波を用いた非侵襲性の血管新生療法(「低出力体外衝撃波治療」)を継続して施行しております。狭心症に対する低出力体外衝撃波治療については2010年7月に厚生労働省の「先進医療」に承認されて以来、関西や九州からも患者さんが治療に来られています。今後これまでの実績を踏まえて保険償還申請を視野に入れております。また、新世代の低侵襲性治療として、当科が新たに開発した超音波治療は、バイパス術や冠動脈インターベンションが困難な重症狭心症症例を対象として全国10施設で治験を実施しております。下川教授が治験調整医師をつとめるこの医師主導治験は、2018年に登録症例数10例を加え全国累計53例(同意取得数累計79例)となりました。狭心症の治療に難渋されている方(薬物抵抗性で、冠動脈インターベンションやバイパス術の施行が困難な方)はぜひご相談ください。さらに、近年アルツハイマー病に代表される認知症においても脳循環障害が重要な成因であることが報告されました。当科では、これら認知症に対する超音波治療(経頭蓋超音波治療装置)を開発し、2018年から医師主導探索的治験を開始いたしました。軽度アルツハイマー病または軽度認知障害の症例を対象として、症例登録が始まっております。

 また、当グループが中心となり、心臓外科、麻酔科の先生方と一緒にハートチームを組織して重症大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)を施行しております。東北大学病院では2014年5月からこれまで累計105例にTAVIを施行し、2017年はこれまでで最も多い年間40例のTAVIを行いました。今後もさらに症例数を増やしていく所存ですので、高齢の大動脈弁狭窄症患者がいましたら東北大学病院循環器内科にぜひご紹介ください。

 今後ともエビデンスに基づいた虚血性心臓病に対する診断・治療を行い、一人でも多くの患者さんのQOL・予後の改善を目指して全力を尽くす所存です。

(文責 高橋 潤)


1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006
カテーテル
検査総数
79 102 95 95 125 166 184 179 169 362 387
インターベンション数 28 32 21 21 24 72 104 79 83 134 122
2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017
カテーテル
検査総数
518 516 636 548 625 663 628 632 597 654 658
インターベンション数 168 215 274 254 247 263 297 274 235 209 198
2018
カテーテル
検査総数
685
インターベンション数 213

 

当グループにおけるカテーテル総数とPCI数の推移

 
  2010年 2011年 2012年 2013年
カテーテル検査総数 548   625   662   628  
緊急冠動脈造影検査件数 61   60   66   79  
アセチルコリン誘発検査件数 55   63   112   109  
冠動脈インターベンション件数 252   247   263   297  
冠動脈インターベンション成功率 97% 内訳 98% 内訳 98% 内訳 98% 内訳
治療病変数 252 100% 247 100% 263 100% 256 100%
ステント挿入例 199 79% 206 83% 193 73% 221 86%
ベアメタル(金属)ステント挿入例 57 23% 50 20% 23 9% 35 14%
薬剤溶出ステント挿入例 142 56% 156 63% 171 65% 187 73%
バルーン拡張単独症例数 21 8% 37 15% 29 11% 31 11%
ロータブレータ 11 4% 20 8% 8 3% 10 4%
血管内超音(IVUS)波施行数 209 83% 237 96% 217 83% 267 90%
OCT施行数 38 15% 5 2% 12 5% 41 14%
薬剤溶出ステント再狭窄率 5%   4%   7%   6%  
ベアメタル(金属)ステント再狭窄率 11%   12%   10%   13%  
合併症例数 5   5   2   5  
下肢インターベンション件数 2   9   9   2  
PTAV     5   0   0  
TAVI                
 
  2014年 2015年 2016年 2017年
カテーテル検査総数 632   597   654   658  
緊急冠動脈造影検査件数 64   73   73   68  
アセチルコリン誘発検査件数 103   124   112   104  
冠動脈インターベンション件数 274   235   209   198  
冠動脈インターベンション成功率 98% 内訳 98% 内訳 98% 内訳 99% 内訳
治療病変数 274 100% 235 100% 224 100% 215 100%
ステント挿入例 227 83% 188 83% 186 89% 174 83%
ベアメタル(金属)ステント挿入例 26 9% 12 9% 21 10% 19 10%
薬剤溶出ステント挿入例 201 73% 176 73% 165 79% 155 78%
バルーン拡張単独症例数 49 18% 46 18% 33 16% 22 11%
ロータブレータ 9 3%8 3% 6 3% 2 1%
血管内超音(IVUS)波施行数 283   283   202   196  
OCT施行数 120   123   89   95  
薬剤溶出ステント再狭窄率 9%   6%   6%   4%  
ベアメタル(金属)ステント再狭窄率 8%   7%   8%   19%  
合併症例数 3   2   3   0  
下肢インターベンション件数     2   6   4  
PTAV 11   0   0   1  
TAVI 10   12   15   28  
  2018年
カテーテル検査総数 685  
緊急冠動脈造影検査件数 85  
アセチルコリン誘発検査件数 125  
冠動脈インターベンション件数 213  
冠動脈インターベンション成功率 99% 内訳
治療病変数 227 100%
ステント挿入例 188 88%
ベアメタル(金属)ステント挿入例 19 9%
薬剤溶出ステント挿入例 168 79%
バルーン拡張単独症例数 22 10%
ロータブレータ 5 2%
血管内超音(IVUS)波施行数 211  
OCT施行数 83  
薬剤溶出ステント再狭窄率 8%  
ベアメタル(金属)ステント再狭窄率 26%  
合併症例数 3  
下肢インターベンション件数 2  
PTAV 1  
TAVI 40  

このページのTOPへ