植え込み型除細動器

 当科では、心室細動や心室頻拍などいわゆる致死性不整脈を有する症例に対する植込み型除細動器(ICD)の植込みを1996年より開始し、年間約20症例、累計で約130症例施行しています。2006年より、重症心不全症例に対する両心室ペーシング機能を加えた植込み型除細動器付き両心室ペースメーカー(CRT-D)が認可され植込みを開始しました。 現在のICDのトピックとしては、致死性不整脈や心原性失神が認められていない器質的心疾患を有する症例に対する一次予防としてのICD植込みがあります。これまでのICD植込み症例の多くは致死性不整脈や心原性失神が認められた器質的心疾患を有する症例に対する二次予防としての植込みで占められていました。しかしながら、致死性不整脈に対するICDの効果が明らかになるにつれ、より早い段階での積極的なICD植込みが求められるようになってきました。米国では、心機能低下を来した虚血性心疾患の症例に対するICDの一次予防の効果が認められ、数多くの一次予防としてのICD植込みが施行されています.しかし、日本においては致死性不整脈を呈する虚血性心疾患の症例が相対的に少ないこともあり、一次予防としてのICD植込み症例の選択基準が定まっておりません。


 当科では、東北地方の関連病院と協力して、器質的心疾患を有する症例における一次予防としてのICD植込みに関する研究(SUPREME研究)を開始しております。虚血性心疾患、心筋症、Brugada症候群等の症例について各々に基準を設け、心臓電気生理学的検査で評価した上でICD植込みをおこなうものです。今後、日本における一次予防としてのICD植込み症例選択の一助となることが期待されます。